第1回 心に残る卒業アルバム エピソード発表

グランプリ

春と私と、B組と。

ペンネーム: 武田 玲 さん

切りすぎた前髪の、26歳の私が笑う。周りには、大好きだった3年B組の生徒たち。今でも私の心の一部は、あのころに置いてきたまま。

みんな、元気ですか。講師として初めて教壇に立った春。一目ぼれのように、ビビっと来てしまったのです。どこにでもいるようで、世界中どこを探してもほかにはいない、控えめで優しい15歳のみんなに。この人たちがいなくなる時、自分が見送りたい。どんなふうになっていくのか、見届けたい。みんなのそばにいたかった。そこからもう採用試験の勉強、必死で頑張りました。みんなはあの頃の私の夢そのもの。

試験に合格。2年からみんなの担任に。嬉しかった。でも、現実も知りました。責任ある立場になって、辛かったり悩んだりすることのほうが多かったな。泣きながら学校に来ていた時期もありました。たまに目が赤いままで、授業してたね。気づかないふりをしてくれてありがとう。この人たちと卒業式を一緒に。それは変わらず、私の夢でした。

みんなと一緒に私も3年生の担任に進級できた日。嬉しくて思わず職員会議で涙。嬉しかった。そこからは、すべてが私にとってみんなとの「最後の〜」。みんなで出かけた横浜の青い空、順位はイマイチだけど楽しかった体育祭、19万円も売り上げた文化祭のかき氷屋。楽しさの中にもいつも寂しさがありました。どうやってさようならを言おうか、いつも考えていました。

アルバムの撮影日。かわいく写りたくて、前日美容院に行ったけど逆効果。眉毛より短くなった私の前髪を笑っていたみんなが今でも隣にいるようです。朝ちょっと泣けてきたのだけど、前髪があまりに目立っててみんなにはばれなかったのでは?

夢に見続けた卒業式の日は、あっという間にやってきた。みんなにさよならを言う時が来た。3年前より大きくなった背中を見て涙が止まりませんでした。あれだけ夢見た瞬間、あんなに寂しいなんて。もう41人全員そろって会えるのはこれが最後なんだとわかってしまって。

何度春が来ても、みんなといた日々は私の中でちっとも古くならないのです。一目ぼれで恋に落ちて、ずっとみんなのことが好き。

私は今でも同じ場所にいます。辛いことも起こりますが、そんな時はこのアルバムを開きます。ちょっと不器用な笑顔の私たちの写真を見て、私の心はみんながいたころに還ります。みんなが好きと言ってくれた私でいたい。

ちょっとカッコ悪くてもいい。とにかく、みんな元気で。幸せに。

41人の、私の初めての卒業生。もう5年もたつね。私もみんなも変わったよね。だけど、不思議なことに時が経つごとにいっそうみんなのことを好きになる。みんなとのあの頃が詰め込まれた卒業アルバムは私の宝物。月並みな言葉だけど、これ以上のものが見つらないね。ありがとう。ずっとずっと感謝しています。